中学受験に関するセミナーは数多く開かれていますが、セミナーの内容は最新の受験の情報、問題の傾向などでどこも似たような内容になります。ただし一点だけ、セミナーの講師によって考え方が二つに分かれる質問があります。
それは「中学受験に一番大切な科目は何ですか?」という質問です。
この答えは講師によって、「算数」と「国語」で別れます。(ちなみに「社会」「理科」と答えた講師はいません。)
受験現場の最先端に立っている講師でも意見が分かれると言うことは、結論として「算数」「国語」どちらも大切ということでしょう。
ただ講師の主張を読み解いていくと、お互いの意見の考え方の違い、視点の角度の違いが分かります。
今回は永遠のテーマである「中学受験に大切なのは算数か?国語か?」に切り込みたいと思います。
国語の重要性
最終的な受験で点数の差がつく(合否に直結する)のは算数。という認識は、国語が大切と答えた講師の方々も同じです。
その一点を見れば、算数の方が大切に見えますが、国語には違う利点があります。
国語は全ての科目の基礎
国語は全ての科目の基礎です。
当たり前ですが算数も理科も社会も問題は文章で書かれています、まずは文章を理解する能力が必要です。
例えば算数の問題で、
上記の問題なら、内容がすんなり頭に入ってきますよね。
では、次の問題はどうでしょうか?
上記は低学年レベルの算数の問題ですが、頭にすんなり入ったでしょうか?
国語が苦手な人は、まず「めんどくさっ」と拒絶反応が数秒あり、その後から頭で一つ一つ理解していって順に式を導こうと思うことでしょう。
一方、国語が得意な子は、読み終わった時点で頭の中に数式が出来上がっています。
この問題は式を導きだすところまでは国語、式を作ってからは算数の力が必要になってきます。
今回は算数を例題に出しましたが、理科と社会も同じように文章を読み解く力が必要になってくる問題が出題されることがあります。
文章で答える問題が増えてきている
2020年からマークシート方式だったセンター試験が終わり、記述問題形式の大学入学共通テストが始まります。
中学受験は大学受験に先駆けて、選択方式の問題が減り記述式の問題が増えています。
以下は私立中学の受験で〝算数〟の科目で実際に出た(似たような)内容です。
算数の試験ですが、答えるには文章を書く力が求められます。
他にも昔の国語の解答用紙と今の解答用紙を比べると、明らかに違ってきています。
2~30年前は国語の解答用紙には小さい長方形(正方形)が並んでいて、そこにア~エの記号を書いたり、〇×を書く方式が多かったですが、今の解答用紙の後半部分は文章を書く大きな解答欄が並んでいます。
その傾向はこれからも続き、国語はもちろんのこと、他の教科においても記述式の問題は増えていくことでしょう。
算数の重要性
「中学受験は算数で差がつく」という言葉を聞いたことありますか?
この言葉はまさにその通りで、多くの学校が公表しているデータで〝合格者の平均点と受験者の平均点の差が大きいのは算数〟になります。つまり、算数の出来が受験の合否に大きく影響します。
中学受験において、多くの方々が算数が重要と主張するのにはこの根拠があります。
算数には発想力が必要
国語、理科、社会が知識や、暗記力である程度の対応が出来ますが、算数には+αで発想力が必要になります。(特に中学受験はその傾向が強い。)
サイコロ状の積み木を並べた立体問題、ルールに従ってカードを並べて式をつくる問題など一筋縄にいかない問題が出題されます。
発想力というものは一朝一夕に身につくものでなく、幼い頃からセンスを磨いていく必要があります。
算数は積み重ねの教科
国語、理科、社会に比べ、算数は積み重ねの教科になります。
例えば、理科の場合、動物の分野は苦手でも、磁石の分野は強い、など分野ごとの勉強が出来ます。(従って苦手分野を絞って勉強することが出来ます。)
一方、算数は積み重ねの科目なので、たし算の繰り越しが苦手だと掛け算に進めません。掛け算で躓くと、割り算も出来ません。
算数は基本が大事で、一歩づつステップを踏んでいく必要があります。
理科、社会の重要性
中学受験で1番重要な教科に、理科と社会が挙げられることはほとんどありません。
単純に国語、算数に比べると理科、社会の配点が少ない学校も多いですし、暗記がメインなことも理由でしょう。
ただし、理科と社会は重要ではないということではありません。
中学受験に苦手教科があることは大きなデメリットになります。算数、国語が得意でも理科、社会が苦手だと受験に不利になります。
理科と社会は重要ではない、という認識でなく、理科と社会は出来て当たり前という認識でいましょう。
まとめ
国語の重要性
・全ての教科の基礎
・今の中学受験には記述能力が必要
算数の重要性
・発想力が必要
・積み重ねの科目で基礎固めが重要
小学校5、6年生の場合、理科、社会含む4教科全ての科目が重要です。1年生や2年生から先取り学習を始めようとする場合は、まずは全ての教科の基礎である国語からスタートすることをおススメします。
たとえば公文で算数と国語のどちらを先に習おうか迷っている時は、国語からスタートするのが無難です。
低学年の内から算数に手をつける場合は、実践的な計算式などを解かせるのでなく、楽しみながら学べるパズル問題から入り、算数は楽しいと思わせつつ算数のセンスを磨くことをおススメします。