平成28年8月中学受験界隈に衝撃が走った。
父親が小学6年生の自分の息子を勉強をさせる為に包丁で恫喝、そしてあろうことかその包丁で自分の息子の胸を刺し殺してしまうという痛ましい事件。
今回の事件に限らず、そもそも親はなぜ精神的に自立もしていない子供に中学受験という過酷な環境を与えるのでしょうか?
昨今はブラック会社叩き、働き方改革がニュースになり、長時間労働が問題視されてきています。しかし、その一方で中学受験界隈では、小学6年生の子供に1日12時間以上の勉強をやらせることも珍しいことではありません。
高校受験、大学受験も似たようなものですが、受験者が小学生ということを踏まえると、中学受験こそ最強のブラックな世界なんではないか?と思うことがあります。
夜も明けない暗い早朝に起きて、一人で黙々と勉強。
学校が終わるとクラスメイトが仲良く遊んでいる中、一人で帰宅し、夜遅くまでの塾通い。
あげくの果てに、模試の内容が悪ければ、塾講師にも両親にも怒られます。
中学受験は実に残酷な世界ということは間違いありません。
事件について
父親は名古屋の有名私立中学卒業で息子も同じ中学に入れようと考えていたようです。
裁判の内容から、事件を起こす前にも包丁で息子を脅したり、足を切ったりしている音声の入ったドライブレコーダーがあるようです。
父親の方は、結果的に息子を殺してしまったことは認めていますが、故意でないと主張しています。
中学受験の勉強をさせる為に包丁を持ち出すこと自体、狂気の世界ですね。
今回の事件に限らず、親が子供を虐待で殺してしまうニュースほど胸が痛くなることはありません。
中学受験と事件の関係性
上記の事件は、中学受験が引き金になっていますが中学受験自体が悪いわけではありません。
今回のニュースの印象で〝中学受験=悪いこと〟とイメージが付きかねないのが心配です。
ただ、、
中学受験を考えているご家庭に限った話ではありませんが、日常の生活の中で包丁を持ち出すことはないにしても、つい声を荒げてしまったり、感情的になったりすることはあるのではないでしょうか?
体罰をしてはいけない!
中学受験する、しないに限らず体罰はしてはいけません。
日本では躾の一貫として体罰容認派が一定数いるのが事実です。というか、半数以上(約60%)が体罰容認派という驚きべき数字が公表されています。(最近は胸を痛めるような聞くに耐えない虐待死のニュースが多いので、世論の風向きも変わりつつあると願いたいですが。)
子供にとって、親は絶対の存在です。世界の全てと言っても過言ではありません。その親に暴力を振るわれば、その子の世界が一瞬で暴力の世界と変わってしまいます。
それは加減の問題ではありません。お尻だろうが、軽くだろうが、暴力は暴力でしかありません。
親が暴力を振るえば、しつけは楽でしょう。(というか、しつけでもありませんが、、)
電車でのマナーが悪くて「人前では行儀よくしろ」と叩けば、電車内での行儀は良くはなるかもしれません。ただそれは「行儀よくしないと叩かれるから行儀よくしている」だけであって、しつけでもなんでもありません。
本当のしつけとは〝なぜ人前では行儀よくしないといけないのかを理解させる〟ことです。
結果的に電車内の行儀が良くなっても〝しつけ〟と〝体罰〟では全然意味が違います。
暴力を振るう親の前では行儀良くするかもしれませんが、その場に親がいなければ殴られる心配もないので行儀良くする必要もありません。
中学受験をしてはいけない!
万が一、当サイトをお読みになっている親御さんの中に体罰を振るってまで、子供に中学受験の勉強をさせている方がいましたら、体罰はしないで勉強させてあげて下さい。もしそれが出来ないようでしたら、中学受験自体止めましょう。お子さんでなく、親が中学受験に不向きです。
体罰の連鎖から解き放つ勇気
幼少時代に体罰を受けていた人が大人になると、自分の子供に体罰を振るうようになる、というデータがあります。
体罰=しつけ、という概念を植え付けられてそうなるのかもしれませんが、それは体罰によって洗脳されただけです。
体罰を受けた人が自分の子供に体罰を振るうように、他人にも暴力的になり、事件を起こす確率も高くなるそうです。
体罰はしつけどころか、子供にとって害しかありません。このことを認めることは体罰を受けた人からすると、自分の幼少期を否定されることに繋がりかねません。それでも勇気を持って、体罰の連鎖から我が子を解き放つことが出来るのは親しか存在しません。
親も人間だから、、
昨今は、体罰の悪影響なども取り上げられることが多くなり、理性では体罰は悪いことと理解している親御さんが増えていることでしょう。ただそれでも、ついカッとなって感情的になって怒鳴ったり、叩いたりしてしまうこともあるかもしれません。
親も人間です。子育てほど濃密な人間関係の構築は他にはありませんし、つい感情的になるのも仕方がないことかもしれません。
ただ思わず叩いてしまうことがあったとしても、体罰=子供の為ではない。という考えを持つことが重要です。体罰を振るってしまったのは、子供の為でなく親が未熟だからと認識していれば、少しづつ良い親に変わっていけると思います。
ただ体罰=しつけ=子供の為。という考えが頭の片隅に少しでもあったら、一度体罰を振るってしまえば、どんどんエスカレートしてしまっていくことになります。
一番重要なのは、、
凄惨なニュースが続いて、やっと日本でも体罰を禁止する改正児童虐待防止法が2020年に施行されることが決まりました。
法律も大事ですが、何より一番大切なことは体罰は子供の為にはならない。ということを親が知ることです。
中学受験の理想
中学受験に話を戻しますが、子供を叩いたり、怒鳴ったりする勉強方法は間違っています。はっきり言って、そういう親に中学受験は不向きです。ひょっとしたら目標を高く掲げすぎているのかもしれません。
中学受験の理想としては、親も子も過度のストレスを受けず、親子ともども笑顔でいられれるような状況が理想ですよね。
そして、そういったご家庭の方が中学受験に成功しているのも事実です。
そう考えると、いかに子供にプレッシャーを与えないで受験勉強をさせるか?が受験に成功する秘訣かもしれません。
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